tominagamichiya.com

高市総理と「偽情報」問題をやさしく解説


公開日:2025-12-08 更新日:2025-12-08

はじめに

2025年10月に、高市早苗さんが日本で初めての女性総理大臣になりました。それと同じタイミングで、高市総理の名前を使った「偽情報(デマ)」や、AIで作られたニセ動画・ニセ広告が世界中のSNSで一気に増えています。

ここでは、地上波の情報番組を見るくらいのライトな視聴者の方にも分かるように、高市総理をめぐる偽情報の「今」と「これから」、そして私たちができる対策をまとめます。


状況

  • 高市総理が就任してから、X(旧ツイッター)やFacebookなどで、 事実ではない話が画像つきで拡散されています。
  • 代表的な例としては、
    • 「外国人を大量に追い出す省庁を作った」という 事実ではない話 が、 主に英語の投稿で世界中に広まりました。
    • 高市総理の顔や声をAIで合成した「投資広告」や「副業広告」の動画が作られ、 お金や個人情報をだまし取ろうとするケースも報告されています。
  • 日本のファクトチェック団体や海外メディアは、 こうした投稿を一つずつ確認し、「これはウソです」と検証記事を出しています。

原因

なぜ、こうした偽情報が生まれ、広がるのでしょうか。大きく分けて、次のような理由があります。

  1. 注目度が高い政治家だから

    • 総理大臣は、日本のトップリーダーです。 政治的に好き・嫌いが分かれやすく、標的になりやすい立場です。
  2. SNSの仕組み

    • XやTikTokなどでは、「強い言葉」や「ショッキングな画像」のほうが拡散されやすい設計です。 そのため、事実よりも「インパクト重視」の投稿が広がりがちです。
  3. 生成AI・ディープフェイクの進歩

    • 画像や動画、音声をAIで簡単に加工できるようになり、 本人そっくりのニセ映像を、専門知識のない人でも作れる時代になりました。
  4. 政治的な思惑・お金の目的

    • 特定の政治家を「持ち上げる」「貶める」ために、 わざと誤解を招く情報を流す人もいます。
    • 「高市総理がこう言っている」と偽り、 投資や副業に誘い込む詐欺ビジネスも出ています。

問題定義(何が問題なのか)

偽情報が増えると、次のような問題が起こります。

  1. 有権者が正しい判断をしづらくなる

    • 「本当の発言」と「ウソの発言」がごちゃごちゃになると、 政策そのものではなく、「イメージ」だけで政治家を判断してしまいます。
  2. 特定の人たちへの偏見・差別が強まる

    • 外国人への厳しい対策を「高市総理が決めた」といった誤情報は、 外国人への不安や怒りをあおり、社会の分断を深めます。
  3. 詐欺被害が増える

    • AIで作ったニセ動画を使い、 「総理がおすすめする投資」「国の公認ビジネス」などと偽って、 お金や個人情報をだまし取る危険があります。
  4. 政治・メディアへの信頼が落ちる

    • 「どうせ何も信じられない」とあきらめる人が増えると、 民主主義そのものが弱くなってしまいます。

予測(今後どうなるか)

今後、次のような流れが予想されます。

  1. 偽情報の「量」と「質」はさらに増える

    • 生成AIの性能が上がるほど、 本物そっくりのニセ音声・ニセ動画が増えると考えられます。
  2. 「貶すデマ」だけでなく「褒めるデマ」も増える

    • すでに、高市総理を過剰に持ち上げる偽情報も確認されています。
    • 「朗報」「神対応」といった見出しで拡散されますが、 実際には事実と違う内容が含まれていることがあります。
  3. 選挙や重要な政策決定の前後で急増

    • 選挙期間中や、大きな法案の審議前後など、 人々の関心が高いタイミングで偽情報が集中する傾向があります。
  4. 海外からの影響も増える

    • 日本語だけでなく、英語や中国語など、 海外向けの偽情報が日本の政治を題材に広まる可能性もあります。

対策(会社として・私たちとして)

会社・組織として

ここでいう「会社」は、メディア企業・SNS企業・一般企業すべてを含みます。

  • 正式な情報発信をていねいに行う

    • 首相官邸や政党、企業の公式サイト・公式SNSで、 できるだけ分かりやすく早く情報を出すことが大切です。
  • ファクトチェックと連携する

    • 日本ファクトチェックセンターなど、 専門の団体と協力して、疑わしい情報を早めに検証し、結果を共有します。
  • AI・ディープフェイク対策の技術導入

    • 画像・動画が加工されていないかを自動でチェックする技術を導入し、 明らかにおかしいものは広告やおすすめ欄に出さない工夫が必要です。
  • 社内教育(メディアリテラシー研修)

    • 社員が「偽情報を信じて社内で広めてしまう」こともリスクです。
    • 社員向けに、偽情報の見分け方や対応方法を学ぶ研修を行うことが望まれます。

私たち一人ひとりとして

  • 「いきなり信じない・すぐ拡散しない」

    • ショッキングな画像や、極端な表現の投稿を見たら、 すぐにリポストせず、「本当にそうかな?」と一呼吸おきましょう。
  • 情報源を確認する習慣をつける

    • 「誰が言っているのか」「元のニュースや動画はあるのか」 を確認するクセをつけます。
  • 公式情報や信頼できるメディアを見る

    • 首相官邸や政党の公式サイト、 信頼できる新聞社・テレビ局・ファクトチェック団体の情報も合わせて確認します。
  • お金や個人情報の話は特に慎重に

    • 「総理がおすすめ」「政府公認」などをうたう広告は、 まず疑ってかかるくらいでちょうど良いです。
    • アプリを入れさせたり、クレジットカード情報を入れさせるものは要注意です。

影響(私たち・社会にどう影響するか)

  • 不安や怒りが増える

    • 「外国人をターゲットにしている」「特定の国を敵視している」 といった偽情報は、不安や憎しみをあおります。
  • 対立が深まる

    • 政治的な立場の違いだけでなく、 世代間・地域間・日本人と外国人の間の対立まで広がるおそれがあります。
  • 政治離れ・無関心が進む

    • 「何が本当かわからない」「どうせウソばかり」と感じる人が増えると、 選挙に行かない人が増えたり、政治参加が減ってしまいます。
  • 詐欺被害・サイバー犯罪が増える

    • ニセ広告を使った投資詐欺・フィッシング(偽サイト誘導)など、 お金や個人情報を狙う犯罪の手口が高度化します。

株価への影響

高市総理に関する偽情報そのものが、すぐに株価を大きく動かした、という明確な例は今のところ多くは報告されていません。

ただし、次のような形で 間接的な影響 が出る可能性はあります。

  • 総理の発言や政策についての偽情報が広まり、 「日本は急に厳しい政策を取るのではないか」と海外投資家が誤解すると、 一時的に円安・株安が進むことがあります。
  • 偽広告に使われたプラットフォームや関連企業の「信頼」が落ちると、 広告ビジネス全体への不安から株価が下がる可能性もあります。

つまり、偽情報は「政治の問題」であると同時に、経済や企業の信頼にも影響しうるリスク として見ておく必要があります。


今後の見通し(回復までの時間)

  • 個々の偽情報は、ファクトチェックや公式発表によって、 数日〜数週間で落ち着くことが多いでしょう。
  • しかし、「一度ゆらいだ信頼」を元に戻すには、 年単位の時間 がかかると考えたほうが現実的です。

今後必要なのは、

  1. 政府・政党・メディア・企業が、 透明性の高い情報発信を続けること
  2. 学校教育や地域の講座などで、 子どもから高齢者まで「メディアリテラシー」を学べる場を増やすこと
  3. SNS企業が、偽情報やディープフェイクへの対応ルールを、 もっと分かりやすく示すこと

といった、長期戦の取り組み です。


同様の事例との比較

高市総理だけが偽情報の標的になっているわけではありません。世界では、

  • ウクライナのゼレンスキー大統領が、 「降伏を呼びかけているように見える」ニセ動画を作られた例
  • 台湾の選挙で、候補者にそっくりなAI動画が流され、 投票行動に影響を与えようとした例

など、世界中のリーダーや選挙が、偽情報・ディープフェイクの標的 になっています。

日本も同じ流れの中にあり、高市総理に関する偽情報は、「日本版・世界的トレンドの一部」として理解することができます。


まとめ

  • 高市総理の就任後、SNSを中心に、 外国人政策や経済政策などに関する 事実でない情報 や、 AIで作られたニセ広告が増えています。
  • 背景には、政治的な対立・SNSの仕組み・生成AIの技術進歩・お金もうけの思惑など、 複数の要因が重なっています。
  • 偽情報は、私たちの「感情」と「判断」をゆさぶり、 政治・社会・経済への信頼を少しずつ削っていきます。
  • 会社やメディア、SNS企業の取り組みに加えて、 私たち一人ひとりが「すぐ信じない・すぐ拡散しない」という姿勢を持つことが重要です。

最後に一言でまとめると――

「高市総理の偽情報」の問題は、
 特定の政治家だけの話ではなく、
 “AI時代をどう生きるか” という、私たちみんなの課題です。

この視点を持ちつつ、日々流れてくるニュースやSNSの情報と、少し距離を取りながら付き合っていきたいですね。